OLDPC

 現在のパソコンの性能に関してはほとんど差がなく、どの機種を購入しても「失敗」だったというのがありません。しかし、パソコン黎明期は数々のパソコンが登場し、中には「失敗作」となって短命に終わったものも数々あります。以前にも「Apple」や「NEC PC-98シリーズ」のコケた製品もご紹介しています。それほど進化するには難しい時期でもありました。今回は過去に世にでて大失敗したパソコンをご紹介します。

1.EPSON PC-286シリーズ
PC286


 このPC-286シリーズはNEC-98シリーズの互換機として登場し、モデルが1~4までありました。モデル1が標準タイプで、2が20MBのHDD搭載モデル、3は20MBのHDD搭載+カセットストリーマ付、4は20MBのHDDを2基搭載していたものでした。
 一見その当時の上位互換機機種であり、コケる要素はないように見えますが、実はこの機種、ライバルである「NEC」から訴えられてしまったため、急遽一旦販売中止となった機種です。
 この機種が発売された直後、互換機としてライバルであるNECにこの機種を持ち込み「我が社の機種を調べて結構です。」とやったようですが、機種のBIOSの部分がどうやら著作権法に触れてしまい、NECの著作権が保有する部分が発見となってNECから急遽訴えられそうになりました。そのため、この機種が発売直後、一旦販売を中止し、BIOSを独自のものに差し替えて再度出荷しましたが、その当時の主流であるROM BASICが間に合わず、BASICを使用したソフトがことごとく動作しないといったものになり、結局ユーザーから「互換機ではない」といった酷評になり、不完全なPC-98の互換機となってしまいました。


2.EPSON PC-286NOTE
PC286NT


 先に説明したEPSON PC-286シリーズのノート型のパソコンです。ノート型パソコンと言えば東芝が最初と思われがちですが、実はこのPC-286NOTEが最初でした。しかし、世の中では東芝のダイナブックがノート型の最初と位置付けられてしまったわけです。
 このパソコンの大コケの一つの原因は「価格」です。その当時の価格でなんと45万円ですから驚きです。
 ちなみに同時期にNECで出しているPC9801Nシリーズがこの値段の半値で販売されており、結局この機種を買う人はほとんどいませんでした。
 EPSONはこの当時、「これほど小さなパソコンはおそらくNECで作れないだろう」と思って製品化したわけですが、それとは裏腹に、NECでも同じようなことを考えていたわけで、結局「NEC」に軍配が上がってしまったわけです。
 しかもこの機種、先に発売されたPC-286同様、98シリーズのソフトが動かず、またFDD(フロッピードライブ)がなく、市販ソフトはどう使用するのかといった問題や、その当時、EPSONで時代を先取りしすぎたICカードスロットというものがありましたが、結局、これを利用するソフトが世の中から発売されず、結局は高級パソコンでもソフトが使えないといった「何のために作ったか分からない」パソコンになってしまいました。



3.シャープMZ-2861
MZ2861

 別名「MZ書院」。この機種は失敗作品と言えるかどうかという意見もありますが、ワープロ機能としては非常にすばらしい機種でしたが、パソコンとして使うには当時としてはちょっとコケた機種となります。
 シャープの「書院」シリーズはその当時のワープロとしては名高いワープロであり、その「書院」シリーズを継いだ機種であり、ワープロ機能として使うには十分に申し分のない機種でした。しかし、この機種は「PC-98シリーズ」互換として使えるといったもので発売されましたが、ソフトを使って互換させる、いわゆる「ソフトエミュレーション」を使用していたため、互換ソフトの用途は非常に狭く、一太郎やロータス123等の有名なソフトが使えるといったくらいの用途しか出来なかったようです。
 当初はこの機種はハードエミュレートを搭載する予定でしたが、開発中に上記のEPSONのPC-286シリーズがNECから訴えられたこともあり、この機種も急遽仕様を変更してこのような仕様になってしまったようです。


4.IBM PCjr(PCジュニア)
PCJR
 IBMが1984年に初めて家庭向けとして発売したパソコンです。当時IBMは世界中のオフィスワークステーションを担う世界最大のコンピューター企業であり、その巨大な企業であるIBMが初めて家庭向けに発売したパソコンでした。技術面からいってもコケる要素がないような感じがしますが、このパソコンは他の一般向けのパソコンに比べ値段が高く、また、なんといっても「キーボードが使いにくい」といった欠点がありました。
 そのキーボードがこちら
PCJRKEY
 
 また、このパソコンをPRするにも苦戦を強いられ、結局翌1985年でこのパソコンの発売中止となってしまいました。