アメリカで「情報通信上のリスクがある外国製品の取引を禁止する」大統領署名がなされ、これによって中国大手企業である「Huawei」が大変なことになり存続が危ぶまれています。また、Huaweiだけでなく、他の中国企業にも大きな影響を与えているようです。この問題についてちょっと考えてみましょう。
まず、今回発端となったのは「情報通信上のリスクがある外国製品の取引を禁止する」という大統領令にトランプ大統領が署名したことから始まります。
この著名は中国企業のデジタル製品(スマホやパソコン等)の内部にバックドアを設け、情報を盗み出そうとしている疑惑から始まりました。この問題については真か偽か定かではありませんが、米国の中の情報ならず、他の国でも同様のことが疑っていたことから限りなく黒に近いグレーな事案だということになります。
そのため、アメリカでは中国の製品にはセキュリティソフトなどでも検出できないスパイ活動を行うことができ、それが中国国家レベルで行われているといったことから今回、アメリカにおける情報通信上のリスクをもたらす製品や企業に対して、安全保障や経済の上で非常に脅威となることから、これらの製品およびサービスに対して取引を全面禁止するといった大統領令に署名しました。
この大統領の署名自体には「どこの製品・企業」といった直接的な名前は書いておりませんが、この大統領令の署名によって、アメリカ合衆国商務省産業安全保障局(BIS)は、取引先のブラックリストともいえる「エンティティリスト」を作成しました。そのリストの中にHuaweiが含まれています。
今回の「エンティティリスト」は下記からダウンロードできます。
この大統領令によって、この「エンティティリスト」に記載されている企業、つまりHuaweiにはアメリカとの取引が全面禁止となります。
この全面禁止には物だけではなくサービスも含まれ、その中にはパソコンやスマホなどの基本で根幹の部分である「OSの提供」が全面に禁止されます。
つまり、スマホのOSである「Android」が提供できなくなります。またパソコンに対しては「Windows」のすべてのサポートができなくなり、この大統領令発行以降の新規のWindows製品のライセンス付与も一切できなくなります。
それだけではありません。Huawei製品を使ってのGoogleのサービスも違反となるため、実質的にはGoogleサービスは中国から撤退をしなければならなくなります。また、アメリカの動画配信サービス会社も同様に中国から撤退ということになります。
また、これらのサービスの撤退だけでなく、Huawei製品が海外から消える可能性もあります。例えばAmazon、世界中でサービスを展開していますが本社はアメリカにあります。取引停止ですからAmazonでHuawei製品を販売することが出来なくなります。この販売停止はアメリカ国内だけでなく、他の各国のAmazonからもHuawei製品がなくなることになります。なぜ?と思うかもしれませんが、理由は簡単です。アメリカ人がアメリカ以外のAmazonを使用している場合もいくらでもあるからです。
これらのことからアメリカ国内だけでなく、世界各国から安全性問題や周りの情勢などから今回のHuawei製品の不買・撤退が広がってくるということになります。
今回の大統領令、Huawei会社の売り上げ急降下や中国経済の崩壊だけではなく、中国国民に対しても大きな影響を与えてしまいます。
中国国内のスマホの販売の割合でHuawei製が1位を占めています。ほかにOPPO、Vivo、Xaomiで合わせて中国製品で全体の約7割のシェアとなっています。ちなみにAppleのiOSは中国国内では15%~18%と以外と少ないのが現状です。
今回Huawei製が制裁対象となり、当然Huawei製を使っている中国国民は他のスマホに切り替えると思いますが、ここでちょっと考えられるのは、アメリカ政府次の手を考えているということです。
以前の記事や今回の冒頭に書きましたが、「スパイ活動を中国国家レベルで行っている」という理由から次のOPPO、Vivo、Xaomiがターゲットになるということです。今回Huaweiを筆頭に「エンティティリスト」に他の3社も追加される可能性が十分にあるかもしれません。そのようなことが起きた場合、中国国民はスマホそのものが使えなくなる可能性が十分にあるということです。
中国製品がダメになったら他の国の製品を使ったら?と思うかもしれませんが、簡単に他の国の製品を入手できないのが現状です。
中国は他の国と違い、ネット網に厳しい規制がかかっています。この規制をクリアしなければ中国国内で販売できないのです。簡単に日本の製品を中国で販売できない。販売するには中国政府の厳しい検査をクリアしなければならないのです。そのため、中国国内では中国の企業の製品がほとんどを占めているわけです。
今回の大統領令はそのことも見抜いていたのでしょう。まさしく「中国潰し」の大きな一手のアメリカの政策になっているものです。今後の動向に注視しましょう。
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