北大西洋条約機構(NATO)は、「国際法に従って、ハイブリッドキャンペーンの一環として行われたサイバー脅威を含むあらゆる種類のサイバー脅威を積極的に抑止し、防御し、対抗するために、常にあらゆる能力を採用する」と述べていました。

　この文書は、ロシアと中国の両方を脅威として扱っており、その行動は「断定的」かつ「全身的な課題を提示する」と表現されています。この文書は、特に中国のサイバー攻撃、情報漏えいキャンペーン、宇宙ドメインでの行動などに言及し、中国が同盟の安全保障上の利益を守ることを誓っています。

　現在、中国は恐ろしい新しいサイバー兵器を解き放っており、非常に挑発的になっています。

　それと同時に、先日会談が行われたG7で,も、ロシアに対し「ランサムウェア攻撃を行い、身代金をロンダリングするために仮想通貨を乱用し、その他のサイバー犯罪を行う国境内の人々を特定し、混乱させ、説明するよう」求めております。また、人権侵害、特に新疆とウイグル人の人口と香港の自由違反に関連するものについて中国を批判しております。
　この発端となったのはアメリカや英国などの企業を狙ったランサムウェア被害で、それにより多くの身代金を払った他、市民生活に大変な混乱をおこしたのが原因となっており、最近では5月上旬、DarkSideランサムウェアギャングは、コロニアルパイプラインが米国最大のパイプラインを閉鎖し、500万ドルの身代金を要求し、支払うことを余儀なくされ、また世界最大の食肉加工業者JBSも、REvilランサムウェア事業者が北米とオーストラリアのITシステムの一部を侵害して暗号化した後、生産を停止せざるといった被害があったことから、ホワイトハウスは、週末に発表された声明の中で、他のG7加盟国と共にランサムウェア作戦と戦うという米国のコミットメントを再び宣言し、今回のG7の宣言に盛り込まれました　

　この宣言に対し、中国中央外務委員会の楊潔チ局長は、アントニー・ブリンケン米国務長官への電話による人権侵害の告発を否定し、「一部の反中勢力は中国を汚すために次々と不吉な波をかき立てようとしている」と主張しています。

　今週末のG7やNATOなどの多国間首脳会談の詳細に不満を持っているのは中国だけではなく、ゲスト国として参加したインドは、表現の自由の侵害としてインターネットのシャットダウンを非難されたことから、G7とゲスト国の最初に署名することを拒否しました。
　しかし、2021オープン社会声明でインドはその後、「政治的動機によるインターネットシャットダウン」のみを非難する改訂版を受け入れ署名しています。

　この理由はインドは過去に、イスラム教徒が多数派を占めるインドのジャンムーとカシミールへのインターネットサービスを拒否し、2019年に治安上の理由から半自治の地位を剥奪しております。国家はまた、そのような出来事での暴力の可能性を理由に、農民による抗議の間に閉鎖を命じております。どちらの閉鎖も、政治的動機に基づく反対の声を汚そうとする試みと広く解釈されていることから、今回の宣言で最初に署名することを拒否したのです。

　現在のサイバー攻撃は「見えない・武器を持たない戦争」とも言われています。一昔前のサイバー犯罪は集団で行われていましたが、現在は国家ぐるみで行われているとも言えます。特にサイバー攻撃を活発に行っている国は中国をはじめ、ロシア、北朝鮮などで、アメリカだけでなく日本でも数々の被害が出ております。ロシアの場合は国家ぐるみと言うよりも、数々の大きなハッカー集団によってサイバー攻撃を行っていることから、ロシアはおそらくハッカー集団の取り締まりに動くでしょう。しかし、問題なのは中国で、最近の情勢からみても、もはや「暴走」モードに突入しております。中国の場合は現在の国家主席が変わらない限り、ますますエスカレートしていうと予想されます。それに対し、世界各国がいかにして現在の中国を抑えていくかにかかっていると思います。