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 今回はちょっとパソコンから離れてテレビについての闇をご紹介します。
 毎日見ていてリモコン操作を行っているテレビ、毎日使っているから何も感じないと思いますが、テレビを操作していてなんか変だと疑問を持ちませんか?当たり前だと思う人も多いと思います。疑問を持った方は勘が鋭い人だと思います。今回はそんな疑問からちょっとした利権をご紹介します。

 昭和世代の人は逆にこの疑問を持たないかもしれません。

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 まず、一つ目の疑問は電源を入れたときに、なぜテレビ放送が映るのか。現在の液晶テレビはネット動画配信サービスや光TVなどのサービスも見ることができます。しかし、電源を入れたときに、動画配信サービスの続きを見ることができなく、必ず一般のテレビ放送が入ります。しかも、動画配信サービスを視聴するには、リモコンの数字キーなどに割り当てることができず、メニューを呼び出して配信サービスを選択しなければなりません。
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 二つ目の疑問は地デジになってから、なぜNHKはチャンネル1なのか、BS放送もNHKが最初の方のチャンネルなのか?民放も含めて全国チャンネル番号が固定となっているのか。(日テレ4 朝日5 フジ8など)

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 三つ目の疑問はテレビでインターネットサーフィンを行うことができないのか?インターネットを見れるテレビはあるものの、ほとんど使い物にならない。なぜかというと独自のブラウザなどを使用しているため、PCやスマホみたく快適に見ることができない。また、テレビにはGoogleChromeなどの普及しているブラウザが組み込まれていない。技術的にインストール可能であるが、あえてインストールできないようになってる。

 実はこんな馬鹿げた仕様で世界中でテレビが使用されているわけではありません。実はアメリカなどのテレビはもっと操作性が良く、動画配信サービスなどもワンタッチで見ることができるTVも多く普及されています。
 では、なぜ日本ではこんな縛りが激しい仕様になっているかという理由ですが、各社が「今までそうだったから現在もそうなんだ」といったわけではありません。テレビ局による大きな利権があり、その利権の仕様によって各メーカーはなくなくこういったテレビを出さなければいけないのです。
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 その大きな利権がARIBという規約で出来ています。ARIBとは一般社団法人 電波産業会のことで、日本の携帯電話やデジタル放送に関する標準規格策定を行っている業界団体であります。もちろんこの団体の中に各放送局も加盟しています。

このARIBの規約の中に次のような規約内容があります。

放送番組及びコンテンツ一意性の確保に関するガイドライン(平成19年8月28日)
地上放送事業者連絡会、BS放送事業者連絡会




(TR-B14第二編9.3章 抜粋)
9.3 放送番組及びコンテンツ一意性の確保
 
放送番組及びコンテンツの全体としての一意性確保の為、受信機は以下の事項を守る事が望ましい。また受信機が蓄積機能を持つ場合、また外部の記録機をコントロールする機能を持つ場合も、以下の事項を守る事が望ましい。
 
・放送信号若しくは、放送信号等に含まれる記述子やデータなどを使い、例えば告知や広告部分のカット、スキップを自動的に行う様な機能の実装、及び蓄積機能、外部記録機の自動制御を行わないこと。なお、ユーザーの操作による早送り、一時停止などはこれにあたらない。
 
・放送番組及びコンテンツの提示中に、それと全く関係がないコンテンツ等を意図的に混合、または混在提示しないこと。例えば、提示中の放送番組の表示にその番組と全く関係が無いコンテンツや告知、広告を混合提示し、意図的にそのコンテンツや告知、広告が放送番組と一体であるかの様な誤解を視聴者に与える提示を行う機能がこれにあたり、テレビ放送画面とインターネットのブラウザ画面が一体であるかのように視聴者に誤解させるような機能を装備することなどを指す。なお、受信機の機能として、上記の様な誤解を与える事を目的とせず、ユーザーの操作により複数のコンテンツを一画面に同時提示する事、例えば2画面表示、小画面表示機能はこれにあたらない。

なお、番組とそうでない情報とを明確にわかるようにする手段として、リモコンを使って視聴者に操作を求めること で明確化することは有効である。ただし、取扱説明書等への記載のみでは十分ではなく望ましくない。

なお、TR-B14/B15第二編9.3章/7.3章にも記載の通り、例えばユーザーの操作によってテレビ受信アプリケーションとその他のアプリケーションを同時に起動するなど、視聴者に混乱を与えない」ことが明確なケースにおいては、番組の一意性確保の点で特に問題はないと考えられます。

<以下Q&Aから引用>

Q:本ガイドライン第4章「番組の一意性の確保」に、「番組とそれ以外の画面が明確に区別できるような受信機の画面構成を設計する必要がある」とありますが、明確化の具体例はありますか?
 
A:受信機の実装については基本的に各受信機メーカの商品企画ですが、本ガイドラインの趣旨に沿って、第4章に記載の手段のほか、例えば以下の方法による明確化が望ましいと考えます。
 
・電源投入時 (テレビ機能起動時)、受信したテレビ映像を表示画面全体に表示する
・テレビ映像画面とその他の画面を同時表示する際、テレビ映像とは異なるサービス/コンテンツプロバイダから供給される 異なったサービスであることが明確に分かる画面構成とする(図1を参照)
・可能であれば、テレビ映像以外の画面の情報を送り出し責任を持つサービス/コンテンツプロバイダ名を表示する
・放送事業者以外が提供する情報は、テレビ映像画面以外の場所で表示する(例えば告知情報、緊急警報、ロゴなど)



 上記の規約から分かるように、テレビは放送波が電源投入時に表示されなければならないという大きな大前提があり、これを違反した製品はテレビとはみなされないということになります
 また、リモコンのチャンネルもこのARIBで決められております。ではなぜリモコンのIDのトップにNHKが来るのかというと、建て前上NHKは「公共放送」だからというのもあります。しかし実際には、それ以外でもNHKのが大きく、民放は絶対NHKに逆らえない部分があるからです。
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 最近民放のテレビ番組を見て「おやっ?」と思う部分はありませんか?「番組がつまらない」それはさておいて、番組自体に「提供スポンサー」がつかない番組が多くなったこと、番組と番組の間にCMが入らなくなったこと、企業のCMが減り、通販や借金問題のCMが多くなったことに気づきませんか?その通りでテレビ局のCM収入が著しく減っていることが挙げられます。

 CMの種類には3種類あります。

 CMには大きく分けて「タイムCM」と「スポットCM」、その他のCMの3種類があります。「タイムCM」はいわゆる提供スポンサーのことで、特定のテレビ番組内で流れるCM(番組提供CM)のことを指します。もう一つの「スポットCM」は期間や広告予算に合わせ、番組間のCMゾーンランダムに流すCMのことをいいます。
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 通常はこの2つのCMで構成されていますが、最近ですがもう一つ「その他のCM」というのもあります。このその他のCMとは、「タイムCM」と「スポットCM」双方に空き時間が出た場合に流すCMで、この「その他のCM」に通販や借金問題のCMが当てはまってきます。これでもCMに空きが出た場合「ACジャパン」の公共広告機構のCMをあてはめます。

 昔のテレビ番組にはどの番組にも「〇〇の提供でお送りします」といった告知がありましたが、最近は提供なしで番組を進めているのもあります。また、番組と番組の間には必ず一つの区切りとして、最低でも1分は「スポットCM」を流していましたが、最近は番組と番組の間にCMも流れなくなりました。

 このことから、民放各社は収入が激減しています。それにより、番組制作そのものにも大きな影響をきたしているみたいです。特に民放の収入減は、地方の放送局よりもキー局が影響を受けており、地方局の方がCMがついているといった現象が見られます。
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 ここでなぜ放送局の収入に話が言ったかといいますと、この「お金がない民放」はNHKに大きく助けられている部分が多くあるからです。その一つに「新しい放送方法の開発」です。「地デジ放送」や「4K放送」「8K放送」などの研究開発はNHKを中心に行われています。NHKは「受信料」という収入があるわけで、その大きなお金でいろいろな開発ができます。お金のない民放は「NHKさまさま」でこれが、もし民放が多大な費用がかかる研究開発を行おうとすると、民放が潰れる危険性があるということです。
 ですから、とある政治が「NHKを壊せ~」とか騒いでも、民放各社は賛同しないのはその大きな理由で、賛同するところか民放各社は「NHKは解体されると困る」立場なのです。放送業界ではそれだけNHKの力が大きくなっているのです。

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 実は以前にこのARIBの規約を無視したテレビが国内でも販売されました。パナソニックが2013年4月に発売された「スマートビエラ」という製品です。この製品は音声によるコンテンツ検索、視聴者を認識してテレビ放送だけではなくyoutubeなどのネット動画コンテンツをレコメンドする機能をもっていましたが、このARIBの規約に反するとして、各放送局はこの製品のCM放送を行わないようにしました。それだけ各放送局は自分たちの利権を守ろうとしているのです。

 しかし、この大きな利権によって放送が守られているようにも見られましたが、時代の変化とともに各放送局は厳しい状況を迎えております。各年齢世代ともテレビ放送離れが進んでいます。その大きな原因がスマホ普及などによるYoutubeなどの動画コンテンツへシェアが奪われてしまっているということです。
 テレビは各放送局から決まったコンテンツ番組を一方的に放送するのに対し、動画配信サービスは自分の知りたい情報を引き出して視聴するという「自分に合った動画を楽しめる」ということから、テレビ放送を見なくてもよくなったからです。

 また、もう一つの大きな原因は各テレビ局「偏向」の番組が多くなったため、視聴者が嫌になったということです。連日政府批判・政策批判ばかりの報道、バラエティーもお笑い芸人ばっかり」、何か事件があれば毎日しつこく報道、コロナの報道がよい例です。そんな偏った番組制作・報道も本来は中立立場を取らなければならないのが、偏った報道などで視聴者を無視した番組制作が今となってテレビ離れの大きな要因となってしまったわけです。

 そのテレビの落ちを少しでも補うために、各放送局は今となってある意味敵である「動画コンテンツ」を使ってきています。しかし「動画コンテンツ」はテレビ放送のようにARIBのような利権がないので、いくらテレビ局であっても他のYoutuberと同じ、一つの「チャンネル」として取り扱いされず、それによって視聴者の登録が伸び悩んでいるのが現状です。

 このように、本来あるべき多様性を壊し、自分たちの利権を守るため防御体制を行ったのが逆に仇となってしまっているテレビ業界、いまだに古い体質のままで、この体質を変えない限りテレビの未来はないということになります。もうすでに各テレビ局はやばい状態に入っています。

 今回はこんなテレビの利権について記してみました。