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 今月はいよいよWindows11への正式アップグレードへのプログラムが提供される月となります。ただし、TPM2.0などサポートされていないユーザーはWindows11がインストールできないため、Windows10 21H2へアップグレードとなります。対象ユーザーはここでWindows11にすべきかWIndows10をそのまま使うかどうか悩んでいると思いますが、どうでしょうか?
 管理人のパソコンはTPM2.0の機能もなく、また、CPUも少々古いパソコンを使っているのでWindows11にはアップグレードできません。インストール時にバイパス機能を使ってWindows11をインストールすることもできますが、その後のアップデートサポートが受けられないとのようですので、そのままWindows10を使うことになります。
 もし、使用しているパソコンがWindows11にアップグレードできる条件だとしても、結論から言いますと、
「Windows11は使いません。」
(ただし、気が変われば使うかも???)


 ただ単にこの結論が気持ちだけで判断したわけではありません。明確な理由があります。現在各IT情報のサイトではWindows11の最新情報など良いところばかり強調していますが、逆にWindows11にすることによって、後々後悔することを一つも記載していません。
 ここで、はっきり言います。安易にWindows11にアップグレードすると


「アップグレードしたことを後悔します。」

 なぜ、後悔するかここで説明します。

 Windows11のアップグレードの必項要件として「TPM2.0」が挙げられます。TPMは、デバイス上で様々なセキュリティ機能を提供するためのモジュールでハード的にパソコン内全体を「暗号化」してしまう技術です。その中には「BitLocker」と呼ばれる、デバイスのストレージを暗号化する機能があり、この機能によってストレージ全体のデータを暗号化して保護するための機能となります。
 この暗号化によってデバイスが盗難されたり、内部のストレージデバイスが取り出されたりしても、データの機密性を保つことができるのですが、この暗号化が後々曲者になってしまうのです。

 ストレージを暗号化することによって、ディスク故障時「修復不可能」になります。
 「修復不可能」というか「最初から修復は無理」と思ってください。

 パソコンの内部の中で、一番故障頻度が高いのが「メモリ」と「ハードディスク・SSD」です。

「ハードディスク・SSD」には寿命があります。
「ハードディスク・SSD」は突然おかしくなります。
 今までいろいろなトラブルを抱えたパソコンを見てきました。その中でも最も多いのが「ハードディスク」の故障です。「ハードディスク」は永遠に使えるわけではありません。また、いくら新品で購入しても「あたり/はずれ」が存在しており、はずれのハードディスクは対応年数内であっても故障します。
 また、使用環境によっても突然故障します。特に怖いのが「雷」です。直接被雷しての故障ではなく、雷による瞬電(ほんの一瞬電気が消える)や落雷によるコンセントの電圧低下によって故障してしまうケースがよくあります。

 ハードディスクに異常が起こった場合、まず最初にデータ救出やハードディスクのエラー修正を行いますが、その作業は非常にローレベルでの作業で修正します。DOSコマンドを使ったり、症状によっては他のPCに接続してエラーを修復・データ救出を行います。他のパソコンがない場合はリナックスOSを使ってデータ救出や修復を行いますが、その大きな前提として

「暗号化されていないこと」
となります。暗号化されていると、これらの救出方法が全くできなくなります。また、暗号化キーと呼ばれる暗号化を解除するシリアル番号みたいなものを無くすると暗号化を解除することができません。暗号化されたハードディスクはそのパソコン上でしか修復する方法がなく、手段が非常に限られてしまいます。

 また、もう一つはストレージ以外の故障が起きて、パソコン本体を買い替える場合です。故障はハードディスクだけでなく、マザーボード本体の故障やCPUの故障などさまざまなケースがあります。
 その場合、実際問題として修理費用が高くなる場合は思い切って中古や新品のパソコンに買い替えると思います。そして、今までのように暗号化されていないハードディスクの場合は新品のパソコンにそのハードディスクを増設し、今までのデータを救出するか、とりあえずDドライブのようにして使うと思いますが、TPMによって暗号化されていると、

「他のパソコンにつないでもデータを見ることができません。」
つまり、
「今までのデータがすべて消えたことに等しい」
ことになります。

 このように、もし何か起こった場合に対処することができなくなります。それらをどんな状況でも修復するツールがあれば別ですが、ないと言っても良いでしょう。暗号化されていると、ディスク修復ユーティリティーで修復を行って見た目上は修復成功したように見えても完全に修復できていないと思ってください。

 これらのことから管理人は

「Windows11へのアップグレードはお勧めしません。」

 他の意見が多数あると思いますが、これは私個人の意見です。
 Windows11でセキュリティを強化するんだったら、セキュリティソフトを充実させたり、ルータなどのパスワードの設定、ファイアウォールの導入などを行った方が良いと思います。また、個人で使うパソコンの場合、よほどのことがない限り盗まれることがないでしょう。

 今回のアップグレードの場合は今でのように単に「新機能をつかうかどうか」とか「新しいOSを体験するか」といった簡単なアップグレードではないようです。実際、Windows11が使用され始め、アップデートの不具合が出た場合、簡単に修正することが出来れば良いのですが、Windows10のときのように、構成環境によってはBSODで立ち上がらなくなることが必ず発生すると思います。その場合、最悪の状況を考えなえればならないので、現時点の状況からみてもWindows10 20H2へのアップグレードへの選択をお勧めします。