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  そろそろ衆議員の任期満了の時期が近づいております。今回の衆議員の選挙は日程は決まっておりませんが、各自治体はいつ選挙は行われても良いように準備を進めております。
 今回は選挙の「投票の方法」についての話となります。2002年に「電子投票法」が施行され、地方自治体や国政選挙で「電子投票」が行えるようになっております。しかし、この「電子投票」施行後、一部の自治体で行ってみたものの、未だにほとんどの地方選挙や国政選挙では「投票用紙」での投票となっています。
 なぜ「電子投票」が行われないのでしょうか?
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  電子投票のメリットから見ると、人件費の削減や開票時間の短縮、また字が汚くてわからない疑問票がなくなる、などいろいろなメリットがあります。実際、アメリカの一部や韓国、ブラジル、ベネズエラ、フィリピンでは電子投票を導入しています。しかし、なぜ日本では導入が広がらないのでしょうか?

 実は、結果として、電子投票による投票はきちんとした正当性のある信頼がないからです。電子投票法が施行された後に、数自治体がこの電子投票を使用して投票を行いました。しかし、ネットワークのトラブルやシステムダウン、また、投票総数が投票者数を上回るようなこともありました。このトラブルにより、最高裁が2003年7月の岐阜県可児市議選で電子投票システムでの選挙の無効を認めた事例もあります。
 また、この「電子投票法」については、私たちは「スマホから投票」や「パソコンから投票」と考えていますが、電子投票を行うには現行の法律上、「投票所」に端末を設置しなければならなくなります。これは必ず、立会人がいる場所で公平に投票をしなければならないので、自宅や外出先での投票とはいかないのが現状です。これによって、なりすましの投票や不正投票を防ぐといったことになります。
 立会人がいる場所で公平に投票できるのだったら、電子投票では良いのでは?という人も多いと思いますが、もう一つの理由として、経費が膨大にかかってしまうということもあります。「投票システム」の端末はリースで、結構お高い値段みたいです。なぜ、リースかと言いますと、各自治体で購入した場合、セキュリティの問題や不正対策の問題があり、これらの問題は時が経つにつれて新しいケースがいろいろと発生し、そのたびに投票システムもアップデートを行わなければならなくなります。これらの膨大な手間がかかることと、数年に1回しか使用しないことから、各自治体は投票システムをリースします。
 また、リースする側も専用の端末を開発していることから、普通のパソコンみたいな値段でのリース金額ではなく、とても高い値段になります。
 そういったことから全体的な経費を考えたら、投票用紙での投票の方が、人件費をかけてでも経費が少なくてすむといったこともあるみたいです。

 電子投票を導入している「国」でも「投票の信頼性」について問題になっており、いろいろ対策を打っているみたいですが、100%に近い「信頼性」にはまだまだ遠いようです。

 また、電子投票の弱点として、投票については「一発勝負」であり、やり直しが出来ないことが挙げられます。投票は1票の差で非常にもめる場合もあります。場合によっては再開票調査や、選挙の無効・やり直しがあります。もし、「やり直し」を行った場合、電子投票の場合で行うと、もめた時と同じ理由で再選挙でも、またもめるのが現状となります。
 
 そのため、国としても「危ない電子投票」より、開票に時間がかかってもいいので、安全な「用紙での投票」を行っているわけです。
 これらの理由から電子投票の普及までには、いろいろな問題があり、それらをすべて解決できない限り実施は難しいようです。