AVG
avast


 7月7日、大手セキュリティ企業(本社:チェコ)が同業のAVG(本社:オランダ)を買収するといったニュースが流れました。買収額は13億ドルで2016年中に買収を完了するということです。
 しかも、その買収理由は...なんと
 
「名前が似ているから」

というだけで買収を決めたそうです。

はたして、本当にそれだけの理由だけでしょうか?裏の理由を本サイトなりに推測してみましょう。

 ここから先はあくまでも「推測」ですので、事実だと思わないようにお願いします。
 また、いろいろな意見もあるかとは思いますが、一つの「推測」としてとらえて下さい。
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 まずは「開発コスト」の面から考えてみましょう。

 ウイルス対策ソフトの開発面で、まず重要なのは「世の中にあるすべてのOSに対応しなければならない」ということです。
 Windowsの場合、WindowsXP以前ではOSの種類が限られていましたので、開発の費用は少なくて済んだと思います。また、その当時は「スマートホン」や「タブレット」などがなく、携帯電話も「Mova」とか「Foma」などの機種のため、開発はサーバーやパソコンに特化できていました。
 しかし、WindowsXPの時代以降、Vistaをはじめ現在のWindows10までOSの変化がスピードアップしました。しかも、WindowsXPとWindows Vista以降もOSの内部がガラリと変わったため、新たに開発し直さなければならなくなったと思います。
 また、パソコンだけではなく「スマートホン」や「タブレット」なども登場したおかげで、これらのアンチウイルスソフトも提供しなければなりません。この「スマホ」類が少々曲者で、パソコンの場合はOSなどはWindows、Macに分かれており、また使用しているハードもほとんど構成的には同じですが、スマホ類の場合、OSもいろいろ、ハードもいろいろといった状態で、それに対応するハードも機種独自のハード仕様で大変な状態です。そのため、ウイルス対策ソフトの開発も以前よりかかっている状態だと思います。
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 次に、ウイルスの形態が複雑になってきたことです。

 ウイルス対策のソフトの場合、セキュリティ会社で最新のウイルス独特のコードを見つけ出し、それを「パターン」という形でユーザーに配布しています。実際使用しているウイルス対策ソフトはその「パターン」と実行ファイルなどを照合し、同一の「パターン」が一部にあると「ウイルス」として発見しています。
 昔のウイルスの場合、端末内で自動実行を行っており、実行されているウイルスから今後発生する最新のウイルスの「パターン」を予測できましたが、最近のウイルスは「ウイルス」というよりも、「実行ファイル」(いわゆるアプリケーション)となっているため、パターンの解析が難しくなっています。また、現在流行している「ランサムウェア」はウイルスとは少々違い、ターゲットを絞ってウイルスが「開発」されているため、現在の方法ではウイルスの対策方法には限界が見えてきております。
 実際に過去にこの「ランサムウェア」で流出した事故では、各端末にはきちんとウイルス対策ソフトが入っていましたが、ウイルス反応しなく被害が拡大しているわけです。
 そのため、ウイルス対策の技術者を集結して、今後のセキュリティの強化を図っているのもあります。
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 もう一つは「無料のセキュリティソフト」の存在です。

 昔のセキュリテイソフトはお金を払って保護を受けるのがあたり前でした。しかし、最近では「無料セキュリティソフト」が多く出回り、製品と同等の保護を受けられるものが多数あります。そのため、両社とも「無料版」も公開しておりますが、この「無料版」から「製品版」に切り替える人も少ないと思います。
 現在の「無料版」と「製品版」の保護レベルは当然違いますが、通常の家庭で使用している環境では「無料版」でも良いレベルでしょう。
 Microsoft社でもWindows10の「Anniversary Update」以降、Windows Defenderの機能を強化し、他の「無料セキュリティソフト」と同等のレベルにするという発表もしています。そうなると、もっと「無料セキュリティソフト」を使用する人が多くなり、「製品版」の販売が見込めなくなります。
 そのため、各セキュリティ会社は販売のターゲットを「個人」から「企業」にシフトしなければなりません。
 企業は現在「クラウド」の使用が多くなってきています。このクラウドからどうやって情報流出を防ぐかという大きな問題を解決しなければなりません。そこでセキュリティ会社の存在が大きくなってきます。


 トータル的に推測すると、各セキュリティ会社はもう「戦っている場合ではなくなってきている」ということです。
 「相手の会社と戦って消耗戦になる」ことよりも、AvastとAVG社は今後の見えないリスクに対応するため、知恵を結集し、本来の「セキュリティ」の完璧さを追求するために、今回の結果になったと思います。

 上記の理由・推測はあくまでも私が思った推測ですので、本当の合併の理由は分かりません。別の大きな理由があるかもしれません。
 しかし、今回のニュースから今後の情報社会の「セキュリティ」の難しさが少しわかってきた記事だと思いました。