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 今回はパソコンやスマホの話からちょっと外れで、デジタル家電のお話です。
 最近、家電屋さんで盛り上がってきている「4Kテレビ」。家電屋さんに冷やかし半分で覗いていると、必ず店員さんが「4Kテレビ」を勧めます。
 店員さんの話を聞くと「高画質」をうたい文句に購入を勧めてきますが、「ちょっと待った!」きちんと4Kテレビのことをよく理解した上で購入を検討しましょう。まだ4Kテレビは買う時期ではないのです。(買ってしまった人はこんなことを言ってごめんなさい...)
 家電屋さんの店員がきちんと説明しない部分を今回は説明します。
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1.まず、「4K」とは何か?

 テレビの規格で最近この「4K」という言葉や「8K」という言葉もちらほら聞くようになりました。この「4K」とはどういう意味でしょうか?
 昔のテレビはブラウン管だったのでこのような規格はありませんでした。しかしアナログ放送が終了し、「地デジ」の放送の移行にともない、テレビも「液晶テレビ」に変わりました。液晶テレビの場合はパソコンやタブレットと同じ、画面の解像度があります。
 現在使用している液晶テレビの場合「2K」と呼ばれ、2000を意味します。この2000という数字は横の走査線の数で、現在の液晶テレビは
 横×縦 1920×1080 (約2000×1000) 画素数約200万画素
となります。
 それに対し、「4K」は
 横×縦 3840×2160 (約4000×2000) 画素数約800万画素
となります。4Kテレビは2Kテレビの画素数の4倍となります。この画素数はデジタルカメラの画素数と同じだと思った方が理解しやすでしょう。

 ここまでの話だと、画素数が多くなるためきれいな映像が見られるという説明で「4Kテレビ」を買いたくなってしまいます。家電屋さんがよく使う説明文句ですが、ここから話がちょっと変わってきます。

 2.今のテレビだと、将来「4K」の放送が見れない?


 ここから先は家電屋さんがきちんと説明していれば良い話ですが、実際にはあまり説明していません。これを説明すると「4Kテレビ」が売れなくなるからです。

  まず、4Kのテレビには2種類があり、「4K対応テレビ」と「4Kチューナ内蔵テレビ」です。「4K対応テレビ」は画面が4K放送対応になっているが、チューナーが必要となります。「4Kチューナー内蔵テレビ」はその名の通り「4Kチューナー」がテレビの中にあります。
 「4K対応テレビ」の場合、専用チューナーが必要になります。スカパーで専用チューナーがあり、それを接続すると見ることが出来ます。「4K対応テレビ」のテレビだけを購入しても、映像はきれいにならないということです。通常のデジタル放送は「2K」で放送されています。そのため「4K」テレビの場合「2K」の放送を「4K」に引き伸ばしているだけです。テレビ内部で映像補間技術を使用しているため、「高画質」なような感じになっているだけで、実際の映像は「2K」とほぼ変わりはありません。

 「4Kチューナー内蔵テレビ」は専用チューナーがなくてもスカパーで4K画像を見ることができます。

 ここまでの話だと家電屋の言う通り、「4K」が見れますという話になってしまいますが、実は、今後の問題があるんです。

 まず、結論から言うと、現在の「4K」のチューナーは「スカパーの4K(東経124度・128度CSデジタル放送)」しか対応になっておらず。他の「4K」の番組は通常では見れないということです。

 NHKの18年度から始まるBS/CSの4K放送は現在の4K放送とは伝送形態が異なるため、また別途専用チューナが必要になります。これは現在「4K」放送を元に将来の「8K」放送も提供できるようにする電波仕様になります。つまり、現在のテレビについている「4Kチューナー」では見れないということです。NHKの「4K」放送は官民一体での開発のため、この「4K」放送の形態が後の「4K」の標準となる見込みです。

 もう少し詳しく説明しましょう。
 現在のBS/110°CSの場合「右旋円偏波」という方式の電波を使用しています。簡単に言うと、衛星から電波を発信する時、パラボラアンテナに向かってらせん状に右回りで電波を発信しています。
 「4K」の放送の場合、逆の「左旋円偏波」を使用します。現在の「スカパー」の「4K」の方式は全く違いますので、新しいチューナーと左旋円偏波対応のパラボラアンテナが必要になります。


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 つまり、現在「4K内蔵チューナー」のテレビでもBS/110°用の専用チューナを使用しなければなりません。「4K対応テレビ」の場合、スカパー用とBS/110°用の「4Kチューナー」を2つ接続しなければならず、結局「専用チューナ」だらけになってしまう可能性があります。

 実は、各メーカーはこれから初めて、BS/110°CSの「4Kチューナー」内蔵テレビを製品として出してきます。当然、スカパー用の4Kチューナも内蔵になっているでしょう。そのテレビでなければ今後の4K放送を楽しめないということになります。

3.録画の問題、現在のブルーレイでも厳しい?

 現在のブルーレイだと2K放送で1枚約120分の録画ができます。しかし、4Kになって画素数が大きくなるということは先にも言った通り2Kの8倍ですから、単純に考えると、1枚のブルーレイで120分の1/8しか録画が出来ません。
 また、ハードディスクに録画の場合もブルーレイ同様に2Kよりも容量が必要になります。
UltraHdBlurayDisc

 現在4Kの映像も録画出来るように「Ultra HDブルーレイ」という規格も出来ましたが、まだ「Ultra HDブルーレイ」に書き込み出来ることが出来ません。現在発売されている機種は「Ultra HDブルーレイ」は読み込み専用となっています。

 以上のことから現在は「4K」技術や、それに対応できる周りのハードがまだ開発途中のため、タイトルの通り「4Kテレビの購入はまだ早い」ということです。もう少し各技術が確立し、きちんと製品として固まってから購入した方がよいでしょう。