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 本日は過去の記事をもう一度掲載いたします。
 今、IT業界で最大の懸念問題である「2038年問題」と言われる問題があります。この問題はとても深刻な問題であり、各箇所で対応を検討・または始めているようですが、生活の中にとけこんでいるすべての機器が対応済みではないのが現状です。

 「2038年問題」は場合によっては非常に怖い問題であり、世界を変えてしまうようなことも起きると言われています。
 この「2038年問題」とは何か、またどんなことが起きてしまうか説明していきたいと思います。
 
 ここから記載することは、とても考えられないようなショッキングなことも記載します。ただし、現在はこの問題を回避するために対応済のもいくつもあります。対応していない場合、実際に現実に起こり得る可能性があることを記載していきます。


ここから先は説明が難しくなりますので、本家ホームページの「0から楽しむパソコン講座」の内容(リンク)と合わせて記載していきます。そのリンク先のページもきちんと読むと内容が分かってきます。

1.まずは2038年問題とは何か?


 簡単に言うと、コンピュータの内部の時計が日本標準時の2038年1月19日12時14分7秒(閏秒は含まない)、世界時間の、2038年1月19日3時14分7秒にコンピュータの内部の時計が世界時間1970年1月1日0時0分0秒(日本標準時では1970年1月1日9時0分0秒)に戻るということです。
 なぜこのようなことになるか説明いたします。
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 まず、パソコンなどの端末の内部はすべて「2進数」で動いているといることを理解してください。2進数とは0(OFF)と1(ON)の世界です。
 
http://zeropaso.gozaru.jp/skouseidgai5.html
デジタル概論 構成編 進数について 0から楽しむパソコン講座


 現在の端末は32ビットと64ビットのシステム(OSなど)がありますが、32ビットのシステムの場合、この2038年問題が起こります。

 プログラムの内部に時刻を格納している領域(変数と言います)がありますが、この領域が32ビットのOSの場合、32ビットの格納領域しか持てません。しかし32ビットといっても一番先頭のビットは符号を意味しますので、実際時刻をカウントできるビットは31ビット分となります。

http://zeropaso.gozaru.jp/skouseidgai6.html

デジタル概論 構成編 進数計算と論理回路 

 1900年1月1日から1秒ごと1ビット繰り上げていき、31ビットすべて1となる時間が日本標準時の2038年1月19日12時14分6秒となります。その後1秒繰り上げると、コンピュータの内部は1900年1月1日に戻ってしまうのです。
 
 分かりやすいように下にGIF画像を張ります。(Wikipediaより引用)

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2.前回の2000年問題との違い

 似たような問題で2000年問題というのがありました。2000年問題はプログラムの内部などで年の部分を2桁で表記している場合、00になった場合に1900年と誤認識されるという問題でした。この問題の対処方法はプログラムの修正やデータなどの年4桁への変更などで問題を回避することができました。しかし、今回の場合はシステム内部での問題のため、プログラムの変更などでは回避することが出来ません。回避策はただ1つシステムを64ビット化する必要があります。
 64ビット化すると西暦3000億年まで対応できることになります。



3.なぜ64ビット化が進まない?

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 上記に記した通り、システムを64ビット化すれば良いのですが、現状64ビット化にすることは難しい状況にあります。我々が使用しているパソコンやタブレット、スマホなどは64ビットが主流になっております。

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 しかし、対象となる端末の種類や台数は膨大な数であり、スーパーなどのレジや企業のサーバー、銀行ATM、コンビニのチケット販売の端末、工場の制御装置、交通網などの制御・監視装置、病院のシステムなどさまざまなものが対象になります。64ビットシステムに変えるには、CPUなどのハードの部分も変えなければならず、すべて新しく交換しなければなりません。これら世界中すべての端末を64ビットシステムに変えるには到底不可能だと言えます。


3.2038年に起こる大問題
 
 このまま2038年を迎えてしまった場合、どのような大問題が起きるのでしょうか。考えてみましょう。
あくまでも起こり得る問題を予想しています。実際に起こるかは当日でないと分かりません。最善の対策方法が構築されていればいいのですが...。
本当にこの問題は起こってほしくありません。


1.みんなの預金口座が0になる?
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 銀行の預貯金管理システムは少しづつ最新のサーバーを使用してるところもありますが、いまだに古いサーバーを運用している企業もあります。その代表例が今年に入り数々のATM停止を行ったあの銀行などです。
 ちょっと話がそれますが、今回このようなATM停止などのトラブルの原因は、合併するときに新しいシステムを導入せず、各合併前の銀行のサーバーどうしをむりやりプログラムで中継を行い使用しており、その体系が今まで使用されていたため、このご時世の処理の増加によって処理の限界を越えてしまってダウンを起こしているのです。
 話はもどりますが、2038年問題でシステムの内部が1900年に戻った場合、預金の残高は1900年を見ます。そのため、みなさんの預金残高はすべて0になってしまします。残高の普及は出来ません。億単位で預金していてもすべて0になります。システム上「未来の預金の照合ができない」からです。

2.通信が出来ない。?
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 大規模な通信障害が発生します。通信関係で一番懸念されるのが、ルーターなどの接続機器の2038年問題です。端末のシステムは64ビット化になっていても、ルーターなどの通信機器などの設定は32ビットが主流で、64ビット化になっていません。そのため、通信経路などの各種設定は、設定の再読み込み時に設定ファイルを読み込めず、すべて初期の状態に戻ってしまいます。

3.交通網がマヒ?
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 各交通網のダイヤなどのスケジュールはすべてコンピュータで管理されており、前もってシステムに予約されています。2038年問題が起きると、ダイヤが白紙状態となったり、航空機などチケット予約がなくなったり、駅校内や航空ターミナルの電光掲示板がすべて消えたりといった完全マヒの状態になります。

4.流通がストップ?

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 コンビニやスーパーのPOSレジは現在でも32ビットのOSを使用している企業が多いのが現状です。
 コンビニやスーパーのPOSレジが使えない、発注した商品がこない、工場の生産がストップなど流通業界も大打撃となります。当然、みなさんが「買い物が出来ない」ということになります。
「買い物が出来ない」、つまり「食料品が手に入らない」ことになります。


5.世界滅亡?
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 現実にはこのことが起こる可能性が低いですが、大げさかもしれませんが予想できる問題です。
 現在、軍事関連の兵器はすべてコンピュータで管理されています。特に怖いのは「核兵器」です。何らかの問題が起きてスイッチが入ってしまうことが十分に考えられます。

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 また、「核燃料の原子力発電所」です。
 原子力発電所はすべてコンピュータで制御されています。これが全世界制御できないことになると、みなさん想像がつきますよね。震災後云々の話では済まされない、もっと大変なことが世界同時に起きる可能性があります。

 このほかにも考えられる問題はいっぱいあります。現在世界中は「コンピュータ」に依存した世界となっています。どの分野でも必ず「コンピュータ」を使用しています。2038年まであと20年近くですが、とても時間がありません。この間にすべての物を対応していかなければなりません。もう真剣にこの問題を解決しなければならない時に来ているのです。各業界真剣にこの問題を考えなければ、2038年を境に「生活」を失うかもしれないのです。

 絶対このようなことが起きてほしくないようにも一度各業界に対策を考えてもうらためにも、再度今回このブログで取り上げさせていただきました。