NHKrogo

 NHKのワンセグの受信料の徴収の件について、いろいろな議論が交わされています。
んぜ、ここにきてNHKはワンセグの受信料の徴収にこだわっているのでしょうか?
 ここから先はあくまでも「受信料を払わなくてもいい」ということを説明しているものではありません。
 受信機がある場合は受信料を払わなければいけないのですが、あまりにも今回の「ワンセグの受信料の徴収」でNHKや国の総務会長がとんでもない非常識なことを言っているので、あえてこの件について記させていただきます。

kokki


1.NHKは「国営放送」なのか

 まず、NHKは「国営放送」か「民営放送」なのかというところから説明したいと思います。
 NHKは「国営放送」でも「民営放送」でもなく、「特殊法人」という立場にあります。
 特殊法人とは「公共的性格を持つ事業」のことであり、いわば「民間非営利団体」ということになります。
 NHKは放送法に基づいて設立された法人であり、あくまでも「公共放送」という立場です。
 この特殊法人には
 
 日本国有鉄道(現JR各社)
 日本電信電話公社(現NTT)
 日本郵政公社(現日本郵政グループ)
 日本道路公団(現NEXCO各社)

 などが昔ありましたが、現在は民営化になっています。
 また、現在でも残っている特殊法人は
 
 日本年金機構
 日本中央競馬会

 などがあります。

roppou


2.NHKの受信料徴収は法律?

 実は、NHKの受信料の徴収については、法律できちんと明記されているわけではありません。
 
 NHKの運営に関する「放送法」では、

・放送法 第32条 (受信契約及び受信料)

1、協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であって、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものを言う。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。

2、協会は、あらかじめ総務大臣の認可を受けた基準によるのでなければ、前項本文の規定により契約を締結したものから徴収する受信料を免除してはならない。

3、協会は、第1項の契約の条項については、あらかじめ総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。


 このように受信機を設置した場合は協会と契約をしてくださいとしか明記されていません。
また、この文面からわかる通り、NHKの放送の受信を目的とした受信機(テレビ)でなければ、契約を結ぶ義務はないとも言えます。
 
 また、この受信契約に関しての罰則はこの放送法に関して記されておらず、あくまでも「努力義務」だと言えます。受信料を払わなくても罰則はありません。

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3.なぜ受信料を払うのか。

 上記の法律だと受信料を払わなくても良いように解釈できますが、通常はみなさん受信料をきちんと払っています。
 なぜ、受信料をきちんと払っているのかと言うと、一番最初に申した通り「公共的性格を持つ事業」の特殊法人だからです。いわば公共の団体だからです。

 先ほどの「特殊法人」の中に、「日本年金機構」というものがありますよね。みなさん年金をきちんと払っていますよね。それと同じでNHKの受信料金も払うのが義務と言えます。
 たしかに法律ではきちんと明記されていません。それは実はきとんと明記すると「憲法」に触れるからです。

憲法第19条(思想及び良心の自由)

思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。

憲法第29条(財産権)

①財産権はこれを侵してはならない。

②財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める。

③私有財産は正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。

憲法第98条

この憲法は、国の最高法規であって、その上記に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部または一部は、その効力を有しない。

 放送法で徴収の義務を明記すると、この「思想及び良心の自由」と「財産権」に触れるため、あくまでも「協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。」と記しているわけです。

 また、このNHKの活動がいろいろな社会の中に役立っているものが沢山あります。災害が起こった場合の情報の発信や新しい放送体系(ハイビジョンや4Kなど)の研究などにもNHKは貢献しています。私たちは少しでもそれらのものを利用しているのです。そのことを考えると、受信料は払わなければならないと思います。

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4.今回のワンセグの受信料の徴収に関して、

 受信料は払わなければならないのは分かったと思いますが、今回の「ワンセグ」の受信料の料金の徴収につては少し疑問を感じます。
 先日の8月26日、ワンセグ放送の受信料の支払いについて、司法は判決を出しました。
 その内容は、ワンセグ放送を受信できる端末に関して契約を結ぶ義務はないとする判断でした。

 これは、先ほどの放送法の文面からの判断です。放送法の第32条の最初である「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は」という文章で「ワンセグ端末は携帯できるため、設置に当たらない」ということです。

 しかし、NHKの籾井会長や高市総務会長はこの判決後、そろって「ワンセグ携帯の受信料を徴収する方向で考えている」といった会見がなされています。
 なぜ、そこまでワンセグの受信料を徴収しようと頑張っているのでしょうか。

NHKhonsya


 これは2020年、NHKの放送局を建て替える計画があるからです。建設費で建物だけで1700億円という膨大なお金がかかります。現在NHKで積立金を行っていますが、そのほとんどがこの建設費に充てられるため、財政力が著しく低下することになります。そのため、少しでも聴取を強化したいと考えているのでしょう。

 たしかに放送局を建て替えしたいのは分かりますが、それ以前に現在のNHKの経営の改革を行わなければならないような感じがします。確かに「特殊法人」ですから「営利を追求する」のは禁止されています。しかし、受信料の徴収が全体で下がっている場合は、やはり「支出」の部分の圧縮も考えてもらわないと国民は納得しないと思います。本来「特殊法人」は透明性を持たせなければなりませんが、現在の「NHK」の経営については全くの不透明な感じがします。

 そのことから、今回の「ワンセグ」の受信料の徴収については大きく疑問を持ってしまいます。
 
 この「ワンセグ」の受信料についてうんぬん議論するよりも、その前にNHKの経営の抜本的改革を行わなければならないのではないのでしょうか。それを行わなければ、NHKの「特殊法人」の立場の是非も問題視されてしまうと思います。